きちんと知っていますか?お葬式マナー香典編

50代を過ぎると、少しずつお葬式に参列する機会が多くなります。
いざお葬式というときに、意外とそのマナーについての知識が曖昧で、慌てることもありますよね。
自信がない時はいつも、母に聞いたものでした。
その母も今はなく、だんだんと自分が人に教えなければいけない立場になってきました。
お葬式のマナーについては、きちんとわかっておく必要がありそうです。
今回は香典についてみていきましょう。
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香典とは?
「香典」は、花やお線香の代わりに個人の霊前に供える「金品」のことです。
「香料」ともいいます。
遺族を経済的に助けるという意味合いもあり、失礼にならないような渡し方や金額などの決まりごとも多くあります。
香典の決まりごとについてのポイントを紹介しますね。
不祝儀袋の書き方
不祝儀袋(香典袋)の表書きは、毛筆(筆ペン)の薄墨が基本です。
薄墨は故人に対して「悲しみのあまり力が入らず、きちんと墨がすれない」や「悲しみの涙で墨が薄くなってなってしまう」ことを表しています。
ボールペンや鉛筆はマナー違反ですが、中袋(内袋)に書く住所などは黒いボールペンでも構いません。
表袋(外袋)の上段に表書きをして、下段に名前を書きます。
この表書きは、宗教や宗派、地域によっても違うので注意が必要です。
通夜や葬式に行く前に、宗教、宗派を確認しておきましょう。
仏式の場合
仏式の葬式では「御霊前」「御香料」「御香典」「御悔」を、表書きにします。
一般的な仏式では、亡くなった人の魂は四十九日までこの世にいることから「御仏前」は使いません。
ただし、浄土真宗では「亡くなってすぐにお浄土へ召されて仏になる」という教えがあり、「御霊前」は使わずに「御仏前(御佛前)」を使います。
迷った時には「御霊前」と書くようにと勘違いしている人がいますが、浄土真宗の場合は教えに反することになるので注意しましょう。
神式の場合
神式(神道)では「御榊料」「玉串料」「御玉串料」「神饌料」「御饌料」「御神前」を、表書きにします。
仏式で使われる蓮の花などをあしらった不祝儀袋(香典袋)は使いません。
無地の袋を使用してください。
古来からある神道ですが、あまり一般的ではありませんので「玉串料」と書かれた不祝儀袋が用意できない場合もあります。
その時は「御霊前」でも失礼にはなりませんが、くれぐれも「御仏前」を使わないように気をつけてください。
ちなみに皇室は神道です。
キリスト教式の場合
キリスト教式は「カトリック(カソリック)」と「プロテスタント」で表書きが違いますが、「御花料」であれば無難です。
カトリック:「お花料」「御花料」「御ミサ料」
プロテスタント:「お花料」「御花料」「献花料」「忌慰料」
カトリックでは「御霊前」を使っても構いません。
プロテスタントでは御霊を偶像崇拝だという教えがあるので、使わないように気をつけましょう。
袋は無地か、十字架やユリの花が描かれているものを使います。
水引きは使いません。
カトリック(カソリック)かプロテスタントかは、葬式が行われる教会の名前をネットや電話帳などで調べると、必ず教会名の前に宗派が書かれているのでわかります。
宗派がわからない場合
葬式に参列するまでもない間柄で、学校の役員であったりといった場合に、宗教や宗派の情報がまるでわからないこともあります。
その場合は、お花をお供えしてくださいということで「お花料」として包むと、特に問題はないと思われます。
また、お別れ会などの通知書に「ご厚志お断りします」と書かれている場合は、香典は必要ありません。
故人の意思であることが多いので、その希望を尊重し、香典を持って行くことは控えましょう。
香典金額について
葬式での香典の相場はよく3千円と言われますが、故人との関係や年代によっても変わってきます。
同僚、友人、隣人といった場合の最低金額が3千円です。
葬儀にはそれ相応の費用がかかります。
最近では即日香典返しをされるところもあり、通夜振る舞いなどを考えると5千円は見ておいた方がいいでしょう。
また、故人からひとかたならぬ恩を受けていたとか、とても親しかったとか、その恩顧に報いるにふさわしい金額も考えたいところです。
香典金額の相場は?
・両親:5万~10万円
・親戚:1万円~5万円以上
・知人・友人・隣人:5千円~1万円
・顔見知り程度:3千円~5千円
一般的な相場は上記の通りですが、親しい友人であったり、お世話になった人や、自分が故人よりも年上の場合は上限の1万円を目安にするなどの配慮が必要です。
ですが、多ければ多いほどいいというものでもありません。
むやみに高額な香典だと、かえって遺族は負担を感じてしまいます。
地域や町内会などのしきたりで金額が決まっている場合もあるので、周囲に聞いてみることも必要ですね。
枚数についての相場もある?
古くからの風習で、香典のお札は、同じお札で1枚・3枚・5枚・10枚という決まりごとがあります。
3千円、5千円、1万円といった金額が一般的なのです。
4千円、2万円などの金額がマナー違反というわけではないのですが、あまり用いられないことも知っておいてください。
中には4=死、9=苦などの語呂合わせが悪いという理由で、故人に対する余計な想いを詮索される場合もあります。
社会人としての常識として、避けたい数字です。
新札はNG?
香典での新札は、あらかじめ準備をしていたように思われるのでマナー違反だとされています。
ですが、最近ではあまりこだわらないようです。
気になる時は折り目を付けるなどするといいでしょう。
くしゃくしゃのお札の方が失礼になるかと思います。
香典を連名で渡す時のマナー
香典は、できれば個人で渡す方が遺族に取っては助かるのですが、会社名などで連名になる場合もあります。
やむを得ない場合の連名は、最大3名まで。
○○一同とする場合は、中袋に全員の名前や住所を書いた便箋などを入れましょう。
香典返しが代表者に届くように記すのが親切です。
遺族の負担にならないような配慮をしてください。
香典を渡すタイミング
通夜、葬式の両方に参列する場合、通夜で渡すのが一般的です。
ですが、急なことでお金が間に合わない時は、告別式で渡しても失礼ではありません。
「このたびは突然のことでお悔やみ申し上げます」
「このたびはご愁傷さまです」
「お花料としてお納めください」
などの言葉を添えて、両手で渡します。
浄土真宗では「ご冥福」という言葉は使わないので、注意しましょう。
「きちんと知っていますか?お葬式マナー香典編」のまとめ
香典は、遺族をいたわり故人に対する恩に報いるためのものです。
ルールやマナーは時に面倒だと思われるかもしれませんが、故人との最後のお別れなのです。
きちんとしたエチケットで、故人を偲ぶ気持ちを表すことが、大切なのではないでしょうか。