同居ではなく近居という選択、そのメリットとデメリット

「近居」という言葉をご存じでしょうか?
UR都市機構が盛んに提唱している「近居」が、この先スタンダードになるかもしれません。
するしないは別にして、結婚して夫婦どちらかの親との「同居」を考えることがあるかと思います。
ですが、生活スタイルの変化や価値観の違いにより、同居のストレスは大きくなるばかりで、できれば避けたいと考える人が多くなってきました。
家を継ぐという概念が薄れてきていることも、一つの要因かもしれません。
そこで、日常的に行き来できる範囲で、親世帯と子世帯が別々に居住する「近居」が言われるようになってきたのです。
50代のわたしたちは、これから親の介護を考える年齢です。
同時に、自分たちの老後を誰に支えてもらうのかも、考えて行かなければいけない年代なのです。
近居とは
近居の定義ははっきりしていません。
いわゆる「スープの冷めない距離」であったり、「車や電車で1時間以内で往来できる距離」であったりします。
いずれにしろ「いざという時にすぐに駆け付けられる距離」と考えるといいかと思います。
近すぎず、遠すぎずの距離感は、「同居」が抱えるストレスやデメリット抑えることができますね。
世帯が独立しているので、日ごろは互いのペースで生活して、病気や育児などでサポートが必要になった時には、助け合うこともできます。
国を挙げてこの「近居」を推奨する背景には、少子化対策があります。
子育て世代が担う、経済的・人的な負担を、親世帯がサポートして負担を減らそうとする政策です。
同時に、高齢の世帯が自立して生活できるようにとの狙いもあるようです。
いずれにしろ、核家族化が進んでバラバラになった世帯を結び付けて、互いに助け合う関係を築こうという取り組みの一つなのです。
実際、子育てを親世帯に協力してもらいたいとの声は大きくなりつつあります。
その理想が「近居」という形になったのでしょう。
とは言え、良いことばかりでもなさそうです。
近居の現実
近居といっても、色々なパターンがあります。
一つは、親世帯が子世帯の近くへ行く場合。
一つは、子世帯が親世帯の近くへ引っ越す場合。
それぞれに問題点も多いのです。
親が引っ越す場合
子世帯の近くに親が引っ越す場合は、住居探しの困難さに直面しそうです。
賃貸マンションやアパートなどの契約で、高齢者不可の場合が多いからです。
時にそれは60歳でもダメだったりします。
子世帯が都会に住んでいると、コスト面でも心配になります。
不慣れな土地へ行くという心理的なストレスも考えなければいけません。
住み慣れた場所から離れるのは、歳をとってからだと寂しいものです。
元気であれば、新天地で新たな関係を築くこともまた楽しいかもしれません。
その辺のタイミングも、見計らった方がよさそうですね。
子世帯が引っ越す場合
若い世帯の引っ越しは、まだ余力がありそうです。
ですが、働き盛りゆえに、仕事との折り合いが難しくなるでしょう。
最近は夫婦共働きが主流なので、夫婦共にこの問題に直面してしまいます。
また、子供の学校の問題や、金銭面での問題と、課題は多いようです。
近居のサポート体勢
近居の課題や問題はありますが、地域によってはサポート体制を整えているところもあります。
近居に対する助成金を支給している自治体はどんどん増えていますし、民間企業でも近居を支援する流れが見られるようになりました。
暮らしたい地域の支援政策をチェックしながら、近居を計画するといいですね。
「同居ではなく近居という選択、そのメリットとデメリット」のまとめ
近年の日本は、核家族化どころか、単身世帯や二人世帯が増えています。
家族がバラバラに生活することが普通になってきているのです。
若いうちはそれでもいいけど、健康の不安や老後の不安は付きまとうでしょう。
将来自分はどこに住んで、どのような生活をするのかというビジョンを、終活の一つとして考えていくのも大切ですね。
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